日本語教師もりす

タイのチェンマイ在住の日本人のブログです。日本語教師をしています。

分かりやすい日本語を書こう その2

皆さん、こんにちは。チェンマイ在住、日本語教師もりすです。

今回は、「分かりやすい日本語を書く」ことについて、久しぶりに投稿してみようと思います。少しマニアックな内容ですし、人によって日本語へのこだわりは違うと思いますが、わかりやすい日本語を書く上で参考になればうれしく思います。

morris-is-japanese-teacher.hatenablog.com

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今回の題材は最近、アメリカのプロバスケットNBAに関して見つけた記事です。該当部分だけ引用します。

https://www.nbcsports.com/boston/celtics/watch-chris-paul-calls-out-privileged-fan-celtics-thunder-game

Chris Paul took offense to something a teenage kid sitting courtside yelled at him. CP called him privileged. And then during the free throws CP came back and introduced himself before repeatedly telling the kid to put some respect on his name. Well said.

そして、この記事の翻訳がYahooにも掲載されていました。

https://www.nbcsports.com/boston/celtics/watch-chris-paul-calls-out-privileged-fan-celtics-thunder-game

「CPはコートサイドに座っていた10代の青年が怒鳴ってきたことに不快感を示した。CPは彼を『優遇されている』と言った。それから、フリースローの間に戻ってきて、自分の名前に敬意を払うように言う前に、自己紹介をした」

CPというのは、NBA選手クリスポールの略称で、文脈を読めば分かるので良いと思いますが、それ以外に、2つ意味が分かりにくい部分があります。

 

その1。CPは彼を「優遇されている」と言った。

彼を~と言う。ここが、まず少し苦しい翻訳だと思います。

に「○○は~」と言う。あるいは、のことを人だと言う。こういった言い方のほうが自然で読みやすい日本語になります。

例えば、CPは彼に「君は優遇されている」と言った。あるいは、CPは彼のことを優遇されている人だと言った。

構文としてはこのほうが多少ましです。

しかしながら、「優遇」、これがまたイメージしにくいです。

確かに、英語のprivilegeは日本語に訳すのが難しい言葉のひとつです。

文脈に応じて、思い切った意訳が必要だと思います。

例えば、このバスケットの文脈で言うなら、このprivilegeは自分でチケットを買ったわけではなく親の金でコートサイドに座っている、という意味ですので、以下の訳の方が分かりやすいように思います。

CPは彼に「君は恵まれているね」と言った。

CPは彼のことを苦労知らずな男だと言った。

 

その2。フリースローの間に戻ってきて、自分の名前に敬意を払うように言う前に、自己紹介をした。

すっきりしない文章です。

なぜなら、日本語の場合、時系列で3つの出来事を表現する場合、このような語順にはならないからです。

「自分」、「ように言う」という言葉も文章を難しくしています。

「名前に敬意を払う」もやや難しい。

まず文章の語順だけ直すなら、以下のようになるでしょう。

フリースローの間に戻ってきて、自己紹介をした後、自分の名前に敬意を払うように言った。(過去から現在に近い出来事を順番に言って、強調したいことが最後に来る

自分の名前に敬意を払うように言う前に、フリースローの間に戻ってきて、自己紹介をした。(一番強調したいことを最初に言って、その前の出来事を過去から現在に向かって順に言う

 

ここまでの2つの日本語のポイントを踏まえて、すっきり訳したいなら、以下のようにできるかもしれませんね。

「CPはコートサイドに座る10代の男たちに挑発され、『君たちは恵まれているね』と言って不快感を示した。その後フリースローの時にコートサイドにもう一度近づき、男たちに自己紹介をしてから、「人の名前に少しは敬意を払いなさい」と言った。素晴らしい」。

 

いくつか細かな部分も変更しました。

例えば、「~してくる」は使い時を間違えると、文章の理解のじゃまをします。

「戻ってくる」は、この文脈では「コートサイドにもう一度近づく」のほうがわかりやすいと思います。「怒鳴ってきた」という主観ありきの表現と、「不快感を示した」というやや客観的な描写を両立させることもあまりおすすめできません。

「自分の名前」という部分も、「人の名前」という言葉を使い、CPのいらいら感を一言で表現します。

 

日本語という言語は、言葉の流れや文末の終助詞で雰囲気が大きく変わりますよね。

主語はなるべく出さず、文章の雰囲気を伝えることができると、自然で読みやすい文章になると思います。

では、また「分かりやすい日本語」について、いつか時間を見つけて書きたいと思います。

長い文章読んでくださりありがとうございました(^^)/