オンライン日本語教師の初回体験レッスンのアイデア
皆さん、こんにちは、日本語教師のもりすです。お元気でお過ごしでしょうか。
今回は、オンライン日本語教師の初回体験レッスンのアイデアをシェアしたいと思います。
私はタイの田舎で学校のボランティア教師として生活しながら、オンライン日本語教師の仕事をしています。
本来ならば日本に短期で帰って出稼ぎをし、タイに戻るのが理想なのですが、コロナの影響を考え、帰国を長らく諦めております。そんな中でもありがたいことに、なんとか生きていけるように、オンラインの日本語生徒さんがレッスンを申し込んでくださっています。
これまでオンライン日本語教師を約三年行ってきて、自分なりに整ってきた教授法というのがあり、その中でも、初回の体験レッスンの重要性というテーマを今回はシェアしたいと思います。
初回のレッスンで、日本語教師の皆さんはどんな会話をしていらっしゃいますか。
あるいは、自分が外国語を学ぶ側だとしたら、教師にどんな会話をしてほしいですか。
初回の体験レッスンの重要性は、何を教える・学ぶにしても役立つと思うので、少しでもいいなと思いましたら、SNSなどでシェアしてください! コメントや感想もお聞かせください。
体験レッスンの流れ:
日本語を学ぶ理由
日本語教師のための教材や講義でも言われているとおり、教師にとって、各学習者の動機を知るというのはとても大切です。なぜ日本語を学ぶのでしょうか。日本の伝統文化や若者文化、例えば武士や漫画に興味があるからですか。仕事に活かしたいからですか。自分の能力を高めたいからですか。旅行がしたいとか、おいしい物が食べたいとかですか。
実は、これらの学習動機は、教師だけでなく、学習者自身が理解していた方がいいです。ここが私が思うポイントです。
教師は気をつけないと、「日本語を学びたいということはやる気があるんだ」と思い込むかもしれません。そしてそれも事実です。体験レッスンを申し込む生徒は、何かのやる気があるから申し込んでいます。たとえ、それが「親に言われた」とか、「試験のために仕方がない」とか、「なんとなく」とかであったとしてもです。
しかし、生徒の側のやる気は、人それぞれです。まず最初に、日本語を学習しようと思った理由を会話することで、学習者のやる気の程度を理解できます。そして、このテーマを具体的に話すことで、学習者自身にも、日本語を学習する理由をはっきり覚えておいてもらうことが役立ちます。
このことは次の会話テーマとも、かなり関連があります。
目指す日本語レベル
学習理由が分かったら、次に目指すレベルを話し合います。
その時、「理想のレベルの人が誰かいますか」という会話が役立ちます。
もし「いる」と答えるなら、「必ずそのレベルになれる」という意味です。もし「いない」と答えるなら、まだあまり本気で目標を考えていないのかもしれません。その人の言語の日本語学習者のYouTube動画を探して、「この人についてどう思う?」と聞いて理想の目標を一緒に作りましょう。
このステップは、とても大事です。
もし目標が明確でないなら、目標クリアもあり得ません。小さな目標も作れません。
学習者自身が目標をイメージし、それに向かって目指さなければ、教師が細かな指導を行っても、学習者にはその意味が伝わりません。目標がぼんやりしているなら、独学したほうが時間もお金も節約できるかもしれません。
教師がいるメリットは、学習者が目標を達成するに向けて何が欠けているか、どんなステップがあるか、どうすれば次のステップに行けるか、を概観して、適切にお手伝いできることです。
逆に言うと、自分が学習者の時に、ここまでの二段階を教師と共有できないのであれば、独学のほうがいいです。今の時代、無料の情報はたくさんあって、自分で調べれば、インターネットやYouTubeで十分学べます。リアルな教師の最大のメリットは、学習者の能力と性格からして、目標に向けて何が欠けているかを教えてくれることです。
教師の立場から考えれば、例えば、無料で情報を提供してくれているほかの教師はライバルではなく、学習者にとっての大事な教材のひとつです。いい教材は、学習者に紹介してあげたいですよね。いつどのようにその教材を使えばその学習者にとっていいのか、教えてあげればいいと思います。
日本語に対するイメージ
日本語に対するイメージを会話するのもとても大事です。
なぜなら、「日本語は難しい!」と思っている生徒が多いのですが、「何が難しいか」を理解している生徒は少ないからです。
生徒は、日本語にひらがなとカタカナ、漢字があることを知っていますか。主語、述語の順番で話すことを知っていますか。話す相手によって使う表現が変わることを知っていますか。
日本語は難しい。
これは事実です。変えられません。
どの言語も難しいです。
でも、何が難しいのか。
ここが本当に大事です。
生徒によって苦手になる内容も違います。
この会話をしたら、学習者に「日本語の特徴」を自分で調べてみるように勧めます。
どの言語を勉強する時も、まずは言語を大まかに理解することが大切です。
例えば、日本人が中国語を学習するのであれば、中国語は漢字で表記されるので日本人にとって有利な反面、発音や声調の知識がかぎになることが分かるはずです。タイ語を学習するのであれば、語順は英語に似ていて、文字はアルファベット的な考え方で、言葉の量は日本語よりも少ないという情報が得られるはずです。
つまり、何が難しいのか、どういうアプローチをすれば覚えやすそうか、先に見ておくこと。
これが、教師が学習者に与える最初のレッスン(教育)だと思います。
知っている日本語
次は、楽しい時間を作ります。学習者に、知っている日本語を披露してもらいます。
どんな言葉だとしても、学習者をほめて、その内容で会話します。
学習者が日本語をまだほとんど知らない場合は、自己紹介を一緒に練習できるでしょう。(YouTube動画のLesson1を見せることもできます。https://youtu.be/iTPueVcNzkA)
この時間は、レッスン(教育)というよりは、日本語学習の楽しさを覚えてもらうことです。
教師の側にも、学習者の側にも、相性というものがあるので、この時間である程度、今後のレッスンが続くかどうか、お互いにわかると思います。
学習方法
最後のステップは、今後の学習方法についてです。
できれば、「レッスンはもう終わり」という雰囲気にしてから、「どうしたら楽しく学習できるか、アイデアがないかどうか」質問してみます。
すでにほかの外国語を学んだことがある生徒さんは、このタイミングでしっかりとした答えができます。自分なりのやり方をいろいろ言ってくれるので、それに合わせたレッスンを一緒に考えて、次回の提案をします。
ほかの外国語をまだ習得していない生徒さんは、「先生、どうしたらいいですか?」と聞いてくることが多いです。その場合は、「ある人は、日本語のドラマを見たり、日本語の音楽を聞いたりします。ある人は、簡単な目標を立てます。ある人は、自分の言いたいことを暗記したり、日記を書いたりします。SNSで学習をシェアする人もいます」という感じでアイデアをシェアしてあげます。
どんな学習方法を選んだとしても、学習者自身が選ぶのが一番いいので、それを尊重します。
もしも、日記やSNSなど、助けが必要な方法を選んだら、教師が助けてあげることを提案できますね。レッスン以外の時間にどれくらい助けてあげられるかが、オンライン教師の価値を測る材料かなと思います。
完全な初心者の生徒さんの場合は、「ひらがな」の練習を始めることをお勧めしています。(ひらがなと単語をセットで覚えられるようなYouTube無料動画もあります。)
いずれにしても最後に、学習者に、動機と目標を意識して大まかな日本語のイメージをつかみ、自分に合った教師を見つけることをお勧めしています。
まとめ
以上が、オンライン日本語教師の初回体験レッスンのアイデアです。
私の場合は、日本語と英語と中国語でこの内容をPDFにして、体験レッスンを楽しんでいただけるようにしています。(もし興味のある方は、以下のInstagramや公式Lineなどの方法でご連絡ください。)
「もっとこうしたほうがいい!」とか「これをとりいれたほうがいい!」などのコメントも歓迎いたします。
長い記事を読んでくださり、ありがとうございました。