皆さま、こんにちは。
中国語の学習法について、何度か書いてきました。
今回は、中国語の「声調」について書きたいと思います。
「声調」は、中国語の魅力のひとつです。
「声調」とは何でしょうか。
『大辞林』によると、「音節の構成要素である高低昇降のアクセント」のことです。
声調があるから中国語は難しい、という声も時々聞きますが、声調のおかげで単語を聞き分けやすくなります。
ときどき、「日本語には声調がないから、中国語って難しいよね~」と言う人がいますが、本当に日本語には声調がないのでしょうか。
例えば、「雨(あめ)」と「飴(あめ)」、「箸(はし)」と「橋(はし)」。
実は気づかずに音程を使い分けていますよね。
気づかずに。ここがポイントです。
中国語を子供のころから話す人も、気づかずに声調を覚えています。ですから、中国人の方が話す中国語も、生まれ育った地域の人の影響を強く受けているんですよね。いわゆる方言というのか訛りというのか、少なからずみんな持っています。
日本でも、東京の人が言う「雨」と、大阪の人が言う「雨」は違いますよね。それと同じく、中国の人たちも、生まれ育った地域のアクセントもしくは声調があります。
でも、どうでしょうか。皆さんは、子供のころ日本語のアクセントを学校で教わった記憶がありますか。
きっとないですよね?
放送関係の仕事をする人は、NHKアクセント辞典などを使って標準アクセントを覚えると思いますが、一般の人は人生で数回調べれば多いほうじゃないでしょうか。
そうすると、日本人が中国語の声調を学ぶにあたって、どんなことが大事でしょうか。
それは、正しい意識です。
「日本語には声調がないから中国語の声調を覚えるのは難しい」と思ってはなりません。
そうではなく、「今までの人生で声調を意識したことがないから、正しい声調を覚えるには時間が必要」と考えましょう。つまり、「必ず習得できる!」ということです。
もし、声調に苦手意識を持ったり、声調を無視して勉強を続けたりすると、中国語学習の進歩が止まってしまいますので、まずこの正しい意識を持ちましょう。
さて、ここからは日本人にありがちなミスをご紹介します。
1.第一声の音程が低い
これは、私が思う、中国語会話がスムーズにできる人とできない人のわかりやすい基準です。
第一声とは、声調の1つめで、高音で始まって高音で終わる音です。
例えば、「他来。」という中国語発音で、「他」の音程が低いと、「来」で正しい音程を作れません。
中国語を学び始める方でよくある問題点です。これを乗り越えないと、その先の声調すべてうまくいきません。
コツはなんでしょうか。
第一声を、自分の発する声の種類のうち高めの音で練習することです。
何かを見つけたときに出す「あ!」という高さ。
その音をまっすぐ伸ばす。
このイメージで第一声をしっかり覚えると、ほかの3つの声調が格段に上達します。
2.第一声の連続に迷いが生まれる
これもよくあるミスです。
「我听音乐。」は言えるのに、「他听音乐。」を間違っています。
「他」の後に「听」が来ると、なぜか疑いが生じ、「听」を第四声にしてしまうようです。
コツはなんでしょうか。
第一声の連続に耳を慣らし、迷わない訓練をすることです。そして、最初のうちは、厳しく誰かにダメ出しをしてもらうことです。
日本語の場合、「繰り返す」とか「持ち上げる」とか、動詞の後ろの音程を下げることが多いので、第一声の連続が慣れないんでしょうね。
3.第三声が連続する時に、2つめの第三声の終わりの音が高くなってしまう
例えば「很好」と言うのは学習初期の難関だと思います。
「很」で苦労して忘れがちなのが、「好」の終わりの音です。
第三声が続く時1つめの第三声が第二声に変調するのは基本知識ですが、2つめの第三声についてはあまりヒントがないことも少なくありません。
それで結果的に、第三声の連続が第二声の連続のようになってしまっている学習者の方がいます。
コツはなんでしょうか。
第三声が連続する時の2つめの第三声は、一番低い音で軽く発するだけにすることです。
分かりやすい例は、中国人が言っている「你好」の「好」です。第三声ですが、上に上がっていく音はほとんど聞こえないはずです。それがポイントです。
まとめ
声調に関しては、自分で正しい音を発しているかどうかを確かめるのは簡単ではありません。率直に教えてくれる誰かに聞いてもらって、直してもらう必要があります。
中国大陸は広いので、人によって声調もさまざまとはいえ、標準語においては意外と共通している認識も多いです。今回上げた3つは、中国人が比較的気にする要素だと観察しています。
参考になれば幸いです!